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サトウトクヤのブログ~トランペットを誰もが楽しめる楽器に~

アレクサンダー・テクニークとトランペットについて書いてあるブログ。

「伝統的な奏法」と「現代の奏法」シラブルと楽器

前から書こうと思っていてなかなか書きあげるやる気が出なかった記事。

 

リップスラーの説明をする時にシラブル※はセットで話されますよね。

昔ながらの教則本にはシラブルについての説明付きの物が多いです。

 

でも、今の楽器に昔の教則本を当てはめても合わない、もしくは上手くいかないのかもしれません。

 

シラブルって音節や舌の位置・形とか言われていますが、ちゃんとした説明ってありましたっけ?

音節 - Wikipedia

 

  目次

 

 

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伝統的なトラッド奏法

トラディッショナル(トラッド)な奏法。これが正しいと言う訳ではありませんが、ある意味で正統派と言えるかもしれません。

 

これは、知り合いのプロに説明して頂いたボビー・シューの考えです。

(実際に起きている事実かもしれません)。

 

トラッド奏法では

低音は「ア」高音は「イ」シラブルを用いる。

・実際に舌も下がる、上がる。

・アパチュアは全体的に小さくなる。

・それゆえバズィングも唇もタイトになる。

低音ではアパチュアは大きく、高音では小さくなる。

 

大きいor深いマウスピースを使用するのでマウスピースの容量に合わせて舌を上げ下げが必要。もしくは浅めのマウスピースでも楽器のボアが太いとこの吹き方になりそうです。

 

先日書いたチャーリー・ポーターさんやノンプレス奏法の人達はこの伝統的な奏法を採用・演奏していると思います。実際に動画では低音でアパチュアは大きく、高音では小さくなると説明しています。ペダルトーンも推奨しています。

 

tokuya-tp.hatenablog.com

tokuya-tp.hatenablog.com

 

上にリンク貼った2つ記事にも書きましたが、楽に吹くもののトランペットにおいては高音が細くもしくは弱く感じます(ビッグバンド奏者目線)。確かに高音域まで響きを保ったまま吹けるようですが、それは後述する奏法でも可能だとは思います。

 

ホルンやトロンボーン、チューバなどその他の金管楽器ならトラッド奏法で大丈夫な気もします。もしかすると楽器のボアサイズやマウスピースの容量により、この奏法にならざるを得ないのかもしれません(・・・そんな訳ないか)。

 

アルトゥーロ・サンドヴァルはこれじゃないかなぁと。

 

 

元祖?トラッド奏法、CG奏法

(この項目はボビー・シューは関係なく個人的な考えです)

伝統的な奏法といえばハーバート・クラークからの流れを受け継いでいるクラウド・ゴードン(CG)奏法があります。

 

楽器はXLボアで太く、マウスピースはリムサイズの指定は無いものの、深いVカップでスロートやバックボアの太いマウスピースです。楽器もマウスピースも太いので舌を上げ下げしシラブルを用いて演奏します。

 

トラッド奏法と似ていますが、違いはウインドパワーとペダルトーンの使用方法。トラッド奏法では息の強さはあまり触れませんが、CG奏法ではウインドパワーが9割と言います。ペダルトーンは強制振動に近いモノがあり振動効率がやや悪く、特にペダルC以下は長く吹き伸ばせないものだと言われています(トラッド奏法では長く吹き伸ばせるようです)。そのため大量の息を必要としペダルトーンはウインドパワーを鍛える練習になっています。

 

ウインドパワーとありますが、力任せに吹くのではなく身体機能をフルに使って深い呼吸をするので呼吸面では効率が良いと言えます。なので氏の提唱するチェストアップ、ビッグブレスを毎日実践し出来ていないと吹けません。無理して吹くと通常の楽器以上に吹き難いです。

 

この奏法ではXLボアが大事というよりは薄い管体の楽器が大事なのでは?と最近思いました。リードパイプや管体が薄いので振動効率が良く、強制倍音に近いペダルトーンでも大丈夫なのかも?なんて。管の薄いカリキオやシルキーBシリーズと言った反応の良い楽器であれば似たような事はできそう。

 

また、CGモデルの特徴としてXLボアだがMボアに近い抵抗感があるので息を持っていかれない、というものがあります。なので管体の薄いMボアの楽器でも似たような事が出来るのではと妄想しています。

 

また、モネットの楽器を使用する奏者も似たような物を感じます。楽器はヘビー・ウェイトですが材質が柔らかい等、様々な点でバランスが取られているのではないかなと思います。あまり吹いた事ありませんが。

 

 

マウスピースのスロートも太くある必要は無いのかも、という考え。 乱暴に吹いてしまう初期段階では役に立つが、後半は必ずしも必要ではないのかも。

tokuya-tp.hatenablog.com

 

 

 

現代の口笛奏法

あえて「現代の」と書きましたが、ホイッスル(口笛)奏法とボビー・シューは表現しています。

 

名前の由来は定かではありませんが、口笛と似た原理でも音を出しているからこの名称が付いたのかもしれません。もちろん唇は振動しています。

 

口笛奏法では

低音も高音もシラブルは「ア」

・高音でも舌は上がるが、わずかに上がる程度。

・全体的にアパチュアは大きい。

・(多少の変化はあるが)アパチュアは一貫して大きいまま

 

・これは僕の感想ですが、開放のペダルCを勧めていない人が多いです。

 

MLボア以下、特にMボアのトランペットと浅いマウスピースを使用している奏者が(無意識にでも)採用していると思います。そのセッティングからジャズ・ポップス系の奏者に多いですね。えぐりの無いマウスピースも好んでいます。現代の道具・ミュージックシーンに合わせた奏法なので「現代の」と付けてみました。

 

マウスピースが浅い、楽器のボアが細めなので舌を上げ下げする必要がない。むしろ口の中を広くしてバランスを取っています。口内が広く、アパチュアも大きい事から低音から高音まで一貫して太い、強い音で吹ける事が特徴ですね。そのためには体内で息圧を高める必要があります。

 

この息圧を作れないと高音が細く振動が止まってしまう事があります。特に実音ハイFまでは太いがその上から極端に細くなる人が多く、最悪振動が止まります。そういう人はトラッド奏法と口笛奏法の合いの子のような奏法で吹いてるのではと思います。

 

なのでトラッド奏法の人は「私達の奏法なら高音も響きは変わらない」と謳っていますが、きちんと吹けている口笛奏法の音はそんな事無いと思います。トラッド奏法のサンドヴァルはダブルハイまで繋がりますが細いですよね。

 

ボビー・シュー、ロジャー・イングラム、ジョン・ファディスなどがこの口笛奏法だと思います。ジョン・ファディスは現役奏者の中では個人的に理想です。

 

また、ブレス時の姿勢はCG奏法のチェストアップに似ています。ボビー・シューをはじめ多くの奏者がヨガの呼吸法を採用しているので、似ているところがあるんだと思います。

 

 

リップスラーとシラブルと楽器

現代の楽器にシラブルやアパチュアを小さくする奏法は合わないのでは無いのか?と感じたのはこういう事からです。(トランペットにおいてです。)

 

CG奏法で練習していくと楽器やマウスピースがキツくなると聞いた事があります。それは逆に現代の楽器に対して必要以上に舌等を動かし過ぎているからなのでは、とも。

 

逆に言えば、現在トラッド奏法で吹いている奏者のほとんどはMLボアを使用しているので、その枠内(肉厚のMLボア)に収まろうと吹いてしまい高音域は弱く感じる音になってしまっている?なのでジャズ、ポップスではモノ足りない音になってしまうし、その音圧を出そうとするとキツくなる、のかも。クラシックはハイF以上をフォルテッシモで吹く必要がほぼ無いですけどね。

 

また、1Cの様なシラブルを用いる必要のあるマウスピースを使用しているのに、MLボアなのでシラブルを使用するとリミッターがかかる、故にシラブルを大いに活用できないパターンもありそうです(この場合は息圧をかければ強い音が吹けそう)。

 

サンドヴァルは純粋なXLボアの楽器とデカいマウスピース(最近では1-1/2C、1-1/4Cと顕著)を使用しているので、アパチュアを小さくせざるを得なく細い音になってしまうのでは?と。

 

 

口笛奏法で吹いていると思われるウェイン・バージェロンはどの音域もアパチュアは一定で、シラブルも全て「ハー(アー)」で吹けと言っています。

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リン・ニコルソンも「大きいアパチュアなので唇自身の抵抗に邪魔されない」みたいな事を言ってます。(2017/5/31 追記)

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でも個人的には、初心者や中低音ではシラブルを用いるのも良いと思います。舌を意識しないと動かない、動き出すまで時間がかかると思うので。ですが高音域はツボが狭くなるのでシラブルもそこまで必要ない。むしろ息の圧力が必要だと感じます。アパチュアを小さくして圧を作るのではないので音は太いままで力強い高音が吹けます。

 

tokuya-tp.hatenablog.com

 

また、口笛奏法の人でも「ア、イのシラブルを使え」という人はいると思います。実際に使っている場合もありますし、ほんのわずかしか動いてないけどイメージでシラブルを使用している場合もあると思います。シラブルを使うとそれ以上に舌を上げられない時はどうするんだ?なんて意見もありますが、少し考えれば舌以外にアゴや息も変わるので相対的に動かしているものだと分かります。

 

 

口笛奏法の気になるところ

(2017/5/31 追記)

 

これも前から思ってたのですが、口笛奏法の人達って基本苦しそうに吹くんですよね。

 

ボビー・シューと始めウェイン・バージェロン、ロジャー・イングラム、最近のリン・ニコルソン。人によっては音も強いんだけど細身に感じる、強いんだけど少し苦しそうな音に聴こえる事もあります。あの音の強さ、音量音圧を出すには仕方ないのでしょうかね。

 

ウェイン・バージェロンは太く強い音ですね。恐らく楽器がMLボアで、マウスピースのバックボアが太めなのも関係しているのかもしれません。でも頑張ってる感じ。

 

個人的に今のところ口笛奏法の理想はジョン・ファディスです。

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音色の好みはありますが、音も身体も無理してる感じが少ない(2017年1月にブルーノート東京での演奏の方が音もより楽そうに感じました)。顔はしかめっつらですが、身体や呼吸がそう感じないんですよね、あくまで個人的に。音の存在感で言えばファディスが凄いですが、音のストレスの無さはマルサリスの方が聴いてて心地よいですね。

 

奏法関係無く理想は?と聞かれたらやっぱりメイナードになってしまいます。音の存在感を保ったままであの高音域までのストレスの無さ。フロントでマイクがあるからかもしれませんが・・・現代のバンドで彼がリード吹いたらどうなるんでしょう。

 

今のミュージックシーンに求められるトランペットの音(ジャズ・ポップス系)を出すにはある程度無理しないといけないのでしょうかね。凄く悩んでます。

 

 

最新のボビー・シューの考え(2015/11/7)

ちなみに口笛奏法、トラッド奏法ともにボビー・シューが前に話していた考えです。

 

2000年頃?に来日した際に日本のプロ奏者に話し、それが人伝いに伝わった内容だと思うので、現在は違う考えを持っているかもしれません。

 

最新(2015年)のボビー・シューの意見をまとめた冊子が出ているので、こちらを読むのも強くおススメします。アパチュアの考えは前と少し変わっているのかも

トラッド奏法、口笛奏法について触れてはいませんが、マウスピース考察やエアピボット、ペダルトーン否定だったりと興味深い意見が多いです。

 

教則本エチュード本を買うのも良いですが、身体は考えた事をしてくれます。なのでこういった第一線で活躍するトッププロの考えに触れておく事は非常に有益です。

 

 

僕自身ビッグバンドで演奏しているのもあり、口笛奏法を持ち上げているように見えますが、何でも良いと思います。オーケストラやアンサンブルでクラシカルな曲を多く演奏するならトラッド奏法が合うでしょうし、毎日コツコツ練習できるならCG奏法もとい練習法は1つの答えだと思います。Mボアで浅いマウスピースを使用しているのならシラブルをそこそこに体内で息圧を作る方向で考えると役に立つのかな、と思いました。

 

 

 

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