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サトウトクヤのアレクサンダー・テクニーク~トランペットを誰もが楽しめる楽器に~

トランペット、アレクサンダー・テクニーク教師サトウトクヤのブログ。アレクサンダー・テクニークとトランペットについて。Facebookページやツイッターもやってます。

向出さんのアレクサンダー・テクニークレッスン

昨日はひょんな事から、トランペット奏者の向井聡さんに疑似レッスンをさせて頂きました。・・・とても緊張しました。

 

つい先日、バジルさんのセミナーに参加されたばかりだそうで、その日消化しきれなかった事への質問を受けたり、新たに気付いた事に対してのアドバイスをさせて頂きました。来年で還暦?を迎えられるとの事ですが、あれだけのハイノートを吹けるなんて・・・至近距離で聞けて幸せでした(笑)

 

1、頭がい骨と脊椎が出会う場所の確認。

いわゆるトップジョイント、AO間接と呼ばれる場所です。ここに頭がバランスを取りながら乗っています。その重さがS字カーブしている背骨で分散されて股関節、ひざ、足首も一緒にうまーくバランスを取っています。

 

2、頭は前へ上へ

「今日は調子が悪い」と話されていましたが、あれだけ太いダブルハイCを吹かれるのには驚きましたが。個人的にはハイEあたりから頭を下斜め前方へ突き出しているのが見えました。この状態ですと頸椎が短く窮屈になり、身体全体のパフォーマンスが下がってしまいます。そこで頭の事を思い続ける事をお願いしながら「頭を前へ上へと思い続けてみてください。」と提案、すると少しずつそのクセが防止され、音質がどんどん変わっていきました。

 

3、「目線を右上に、プレスは左下に」

バジルさんのセミナーに参加された際に頂いたアドバイスだそうです。上記に書いた通り頭が下斜め前方に下がっていたので、それを防止するアイディアだと思いました。また、プレスに関してもある音域から唇の左下への密着度が弱まったからなのではないかと推測します、もしくは歯並びの関係でしょうか。もっと詳しくその時の状況をお聞きすれば良かったですが、これは向出さんに役立つアイディアですね。人によっては目線を左上、右上にプレスした方が良い結果が出る事もありえます。

 

4、「腕の付け根は鎖骨の根元と思えば良い?」

鎖骨の付け根を意識してもらうのと同時に肩甲骨も動ける事を確認して頂きました。僕が向出さんの肩甲骨に手を置き、腕を動かしてもらいながら肩甲骨が腕の動きに関与している事を体感してもらいました。その後、マウスピースが口にやってくる、楽器に腕がついてくる事を意識しながら構えて頂きました。多くの人は構えるだけでもクセがなかなかぬけないのに1、2回ほどでそのクセが無くなられていました、流石!

 

5、「息の流れ下から上というのをただ思えば良い?」

息は肺から口に向かって出て行く。肺は口より下にあるので息の流れは下から上になります。さらに口の中の構造を考えると、息は口の天井にぶつかり自然と前へ流れ出るので自分で前へ吹く努力をしなくても良いのです。アレクサンダー・テクニークでは「doingしない」と言われる事があります。多くは自分から余計な事をする・必要以上に何かをする事を指します、今回は前へ吹きこむ事ですね。

このアドバイスの後すんなり音が出たので向出さんもビックリされていました。

ここで向出さんから、クラシック奏者の友人が「ピッコロトランペットは息が頭を突き抜けるように吹くと良いよ!」と話されていたというお話をお聞きしました。これは僕も使っているアイディアで、息の流れを意識できると同時に頭を前へ上へ意識し続けられる、一石二鳥のアイディアです。

 

6、肩はお互いに離れて行く

ハイノートを吹くとどうしても身体を縮めてしまいがちなトランペッター、猫背になりすぎて胸が狭くなるくらい縮めてしまうのは良くないですが、胸を張り過ぎて背中が狭くなるのも緊張が起こります。向出さんも長年のクセで右肩が極端に狭く釣り上げているのが見られました。そこで「肩はお互いに離れて行く」と考えると胸も背中も広くなり胸郭にスペースが生まれるので呼吸の助けになります。またハイノートへの下準備になるとも考えています。このアイディアが見た目の上では一番変わりました。この状態で自然な呼吸が行えるとアメコミのヒーローの様に広い肩幅、厚い胸板、広い背中になった様に見えます。

トランペットに限らず右手で演奏する楽器奏者は右腕、指に何かとクセを持っています。そしてそのクセは長年の練習により呼吸とリンクしているのでなかなかにやっかいなんですよね。

 

7、横隔膜は下がるよりも拡がる

よく横隔膜は下がるというイメージがありますが、厳密に言うとドーム状の横隔膜が収縮してろっ骨を押し広げるように(比較的)平らになるそうです。ドーム状の頂点の位置も下がりますが、横隔膜の両端がその頂点の高さに近付くイメージなんだそうです(実際に見た事はありませんが)。肩が離れて行くイメージと共に、横隔膜によってろっ骨が拡がるとイメージしてもらうと・・・ろっ骨が動き胸部の体積がかなり増したのが一目で分かりました。

順番としては息を吸うからろっ骨が膨らむのではなく、横隔膜が収縮しろっ骨が拡がるので息が入ってくるんです。

 

8、息の流れはもっと下から

何回か吹かれていて、元から凄まじかったハイノートが更に素晴らしい物になっていきました。後半に気付いたのはもっと下半身を使えるのではと思ったので、もっと下から息が流れると思ってみてください。とアドバイス・・・するやいなや音が倍くらい太くなりました。この間に楽器を2本(ゾロSPとシカゴベンジを)吹かれていたのですがさっきまでの音とはまったく別物でした「今日調子悪かったけど、どんどん良くなっていったよ」とのお言葉まで頂けました。

もう1つ下半身を使うアイディアがあったのですが、伝え忘れてしまいました。ダブルハイC時に役立つと僕が思っているアイディアです。もしかしたら、僕が見えなかっただけで自然に使われていたのかもしれません。

 

9、「アガリ症対策について、一言で言うと?」

アレクサンダー・テクニークで有名なのがアガリ症対策。一言で言いますと・・・「自分を現実と切り離すと緊張してしまうので、常に現実とコンタクトし続ける事」でしょうか(長い!)。人は現実と違う事をしようとすると緊張してしまいます。例えば大勢のお客さんがいる事は聴覚や視覚といった情報から認識できますよね?脳はそう認識しているのに意識中で「客なんていない、みんなジャガイモなんだ」と現実と違う事を思うと脳は混乱してしまい、結果緊張してしまいます。目をつむる事も外界の情報をシャットアウトしてしまいがちなので、なるべく開けておいた方が良いですね。

身体の構造を知るのも同じですね。お腹に空気は入らないのにお腹に入れようとすると緊張してしまいますし、腕の構造とは違う動きをするとこれもまたぎくしゃくしてしまいます。

 

 

ざっと書きましたが、途中雑談も交えつつ1時間近くアドバイスさせて頂きました。しかも凄く謙虚な方で学ぶ姿勢も素晴らしく・・・だから何十年も某テーマパークでバンドリーダーを任されていらっしゃるんだなぁと思いました。

 

とても勉強になりました、ありがとうございました!